すごくまとも

まともな人間でよかった

【未来掲載短歌】2019年7月号

未来2019年7月号掲載

無職元年

春がくる前兆として降るひかり行き交う人をくるくるさせる
眠れない夜のことにはふれないで紡ぐ言葉は退職理由
一年で同期は半数以下になり会社はそれをとくに咎め
エイプリルフール企画の手の込んだシナリオが頭から離れない
免許証大事にするね探したらあった平成三十二年
油絵まで光が伸びるひび割れに潜り込もうとしているように
私より私の髪をわかってる美容師に会う年に二度だけ
缶詰の賞味期限のその頃の私はなにが主食なのかな
春風でいっぱいにしようからっぽにしたばっかりの通勤バッグ