すごくまとも

まともな人間でよかった

【2017年度未来賞応募作】人畜無害

人畜無害

もう二度と会わない人を夢にみる 夢から醒めるときは一瞬
物理的にふくらむ胸を押さえつけ昨日のことは明日話すね
emotion そして桜の木は揺れる、花の重さを確かめながら
野球部と私は違う 野球部は東の方へ走っていった
高校が大学図書館から見えて窓があんなにきらめくなんて
「現代」とタイトルにつく本はほぼ、まあまあ古いみたいな話
占いを見るのが好きだ まちがったhoroscopeもhopeに抱かれ
占いじゃ出会いは九月らしいから、よろしく運命の人じゃない人
万が一また会うことがあったならはじめましてとほほ笑むつもり
コンビニのドアがしっかり開かれる 蝶が退店するためだけに
店長の電話の向こうにいる人が誰か野球の話でわかる
後輩にそっと教えた親機って言葉を ふたり母子家庭の子
もうあとは死ぬだけの人たちに聞くレシートの要不要むなしく
限りある私のことを大切に、地球が風を起こしてくれて
恋愛を嫌がる人に惚れたのがまさに私という感じ、だね
妄想の兄と出かける 妄想の兄はかわいいゆるキャラが好き
水田に映り込まないようにして実の親からすこし離れる
ほんものの火に親しんでいた頃のカセットテープこわれてきえた
白い夏 きみを忘れてゆくことを恐れていない私に気づく
サンダルは消耗品と割り切っていけるとこまで走る 雨脚

 

(2017年度未来賞 候補作品)